男性看護師が大学病院から治験コーディネーターに転職した体験談

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厚生労働省が行った「2014年衛生行政報告例(就業医療関係者)」では就業看護師数は108万6,779人、2012年末に比べて7万1,035人増え、過去最多の記録をたたき出しました。

看護師の男女の内訳をみてみると、男性が7万3,968人、女性が101万2,811人と男性看護師の割合が少ないですね・・・。

しかし、女性看護師よりも男性看護師の方が増加率は高く、2004年の男性看護師が3万1,594人だったことを考えると、この10年でいかに倍増したかがお分かりいただけると思います。

年々増加している男性看護師ですが、女性が多い職場ならではの様々な悩みを抱えていると思います。

今回は大学病院で働いた男性看護師さんが民間企業で治験コーディネーターとして働き始めた時の体験談をご紹介します。

看護師さんのプロフィール
氏名 諸隆司(仮名)
年齢 20代後半
勤務先 大学病院
転職先 民間企業
転職前の年収 560万円
転職後の年収 640万円

目次

男性用トイレと更衣室が窮屈すぎる

病院、トイレ

悩みを言い出せばキリがないのですが、看護学校に通い始めて最初衝撃を受けたのはトイレと更衣室の狭さですね。

僕が入学した当初は各学年50名ほどいましたが、男性は5人程度。

最近では少しずつ増えてきていると思いますけど、高校まで共学でトイレとは更衣室も男女の差なんて感じなかったのでびっくりでした。

まあ、狭い分人数も少ないんでなんとも言えないのですが・・・最初は肩身の狭い思いをしましたが、看護を学びに来ているのは男女関係ないので徐々に慣れましたね。

でも、友達なんてトイレの中にコインロッカーがあって男子はそこで着替えてたとか。

どうしても嫌な時は女子が着替え終わるまで男子は待ってないといけなくて、待つと遅刻して先生に怒られるとか、理不尽なことは学生の頃からでした。

権力は弱いが力は強いので重労働が回ってくる

重労働、重い、男性

実習では男子も女子も同じことをしたので、実際病院に入職しても同じように働けると思っていました。

しかし、新卒で入職した大学病院で現実を目の当たりにしましたね。

その大学病院は僕の地元の中でも規模の大きな病院で、医師も多く男性看護師もちらほらいました。

でも、やっぱり看護部は圧倒的な女性社会です。350名以上の看護師がいる僕の病院では男性の割合は1割にも満たなかったと思います。

最初の精神科では、女性よりも体力があるとのことだけで配属されました

もちろん知識や技術、集中力や判断力も男性看護師に求められますが、一般的に女性の方器用ですし容量もいいので、肩身は狭かったです。

同僚や先輩から「男性がいると力仕事を任せられるから助かるわ」と言われて、それだったら宅配業者や引っ越し業者でも雇えばいいのではと思いましたね。

正直うんざりしています。

患者さんと患者さんの家族に拒否されることがある

男性看護師、悩む

一番傷つくことは、患者さんから言われるきつい言葉ですね。

ある日、ナースコールが鳴ったので訪室したのですが、「看護師さん呼んでくれる?」って言われて・・・僕も看護師なのに。

男性看護師が増え始めてからもう15年くらいたつのに、まだまだ男性看護師への不信感と言うか、マイノリティなんだなって思いました。

治験コーディネーターとして民間企業へ転職

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看護助手として大学病院で働けたのはいい経験だったと思うのですが、医療現場での経験を活かしてもっと自分らしく働ける場所はないのかと思って転職を考え始めました。

大学病院では3年程勤務しましたが、この選択は正しかったと思います。

転職を考え始めた頃、僕の勤めていた大学病院にいたSMOの代表の方が親しくしてくださっていて、その方と話していくうちに治験コーディネーターの仕事に興味が湧いてきたんですよね。

それに大学病院よりも給料が上がるとのことだったので迷いはありませんでした

民間企業でスーツを着てビジネスワーク

ネクタイ、ビジネスマン

治験コーディネーターは病院とは違って毎日スーツを着てネクタイを締めて、ノートパソコンを持って出勤します。

普通のサラリーマンと変わりません。

業務内容としてはいろんな病院やクリニックなど医療施設を訪問したり打ち合わせをしたり、あとは被験者対応ですね。

治験コーディネーターは医療関係者と患者さん、被験者さんですね、の両方と関わる機会が多かったです。

なので、治験実施計画書を作成して、医師とのミーティングを設定したり、検査に必要なキットを管理したり、業務内容は多岐にわたります。

治験コーディネーターとして求められることは、一人でも多く被験者を増やすことです。

被験者への説明やケアはもちろん、経過観察や相談窓口となって被験者をサポートすることが治験コーディネーターの役目です。

看護師の知識を治験コーディネーターで活かす

新薬、治験コーディネーター

スーツを着て働くことに最初は違和感を覚えましたが、徐々に治験業務を覚えて仕事にもやりがいを感じられるようになりました。

元々人と接することが好きだったので看護師を志していましたが、治験コーディネーターも患者さんと接する機会が多いです。

特に検体検査を行う方はそうですが、被験者の窓口は自分になるので、病院の窓口として働く看護師と同じような感覚でした。

患者さんに様々な説明をして相談にも乗るので、頼りにされている実感を得られます。

それだけでなく、新薬の誕生に携われる可能性があることもわくわくします。

ゆくゆくは世界規模のプロジェクトにもなります。自分で言うのも変なのですが、そんな大きなプロジェクトが実行できるのは治験コーディネーターがいるからです。

製薬会社、医師、看護師、臨床検査技師などたくさんの関係者と関わり合いながら地検に協力してくれる患者さんをサポートします。

看護師としての経験を活かせますし、看護師よりも治験コーディネーターの方がチームで働いている感覚を得やすいと思いますよ。

チームの調整役に回ることが多い、人とのコミュニケーションが好きな方は治験コーディネーターへの転職も考えてみていいと思います。