以前は「上司に言っても自分たちの働き方は何も変わらない」と思っていました。
私はケアマネージャーとして6年目になりますが、正直ケアマネージャーとしての立場に誇りもやりがいも感じられませんでした。
なぜか?施設関係者以外から見ると、ケアマネージャーは「御用聞きサービス」だとか「偉そう」「何もわかっていないのに上から目線」などの言葉を耳にすることもあります。
ずっと「自分たちの働き方やスタンスを変えたい」と思っていました。朝から晩まで残業しながら、人から嫌味を言われる仕事をするなんて、私にはもう限界でしたね。
目次
「ケアマネージャーがお高い」と思われる理由は施設全体の責任
先日、次のようなニュースを目にしました。
“私は、母のリハビリの状況を伝え、今はまだトイレに行くのに介助を必要とすること、ズボンや下着の履き替え、入浴などにも介助が必要なことを説明した。私には仕事があり、24時間付き添えないことも伝えた。
すると所長さんから、「おおよその状況は分かりました。(中略)まずはケアマネに、サービス担当者会議を開くよう依頼してください。私もそこに参加します。」
(中略)
青山さん(ケアマネ)の携帯電話にかけると、留守電に繋がった。「退院後の母の生活について話したいので電話をください」と伝言を残したが、翌日の夜になってもかかってこなかった。
「退院後の母の生活について、サービス担当者会議を開いてもらえませんか。ヘルパーさんに来てもらう回数を増やすとか、訪問介護をプラスするとか、話し合いたいんです。○○という訪問看護ステーションの署長さんから内諾をいただいてます。」
すると青山さんが突然、不機嫌そうな声を発した。
「内諾って何ですか?勝手に決めたんですか?」「こちらの事業所の方で紹介できる訪問看護ステーションがあるんですけど、そこはダメなんですか?」
なるほど、それで機嫌が悪くなったのか。ケアマネが、自分が所属する事業所の系列業者や施設を使いたがる、という話は聞いたことがあった。でも、私がここで折れるわけにはいかない。”
この一件は、「自分たちの系列の業者や施設を使わせる」という会社の方針が引き起こしたものです。私の職場も同じでした。
このように会社の方針が固まりすぎていると、ケアマネージャーは自由に提案することが難しくなります。
現場スタッフの決定権はほとんどありませんでした
そのことから、会社の雰囲気も悪く、スタッフ同士の仲も良くありませんでした。そして私の職場は、離職率が高いことも問題でした。
現場で働くスタッフが自分たちで何も決められない。料金に関してもそうです。
介護保険サービスの値引きはできることになっていますが、届出が必要なので、その日その日で価格を変えることは現場スタッフはもちろん、管理者でもできません。
「利用者さんがこんなことをやりたいと言っていたので、提案したい」「利用者さんにぴったりの新しい方法を提案したい」など仕事のスタンスに関する想いもあれば、「この日はこんなスタッフ要らないのに」「私だけ勤務時間が長すぎる」など働き方に関する想いもたくさんあると思います。
しかし、介護職員の離職率が高いことで「現場には任せられない」といった上司の想いも大きいのだと思います。
現場スタッフは利用者さんのすぐそばにいることを認識した
介護保険サービスの理念や運営基準は国や協会などが定めています。
「自立支援、レスパイト、社会的孤立感の解消」などが挙げられますが、これらの理念は利用者本位でなければなりませんよね。
あと思ったことは、利用者さんの一番近くにいるのはスタッフです。現場のことを一番よく知っているのも介護職員です。
現場を動かす決まりやルール、特にサービス内容、シフト、ルーティンワーク、予算などは現場スタッフの裁量で決めていいのではと思うようになりました。
働き方を現場スタッフで決めることにより離職を防ぐ
離職率が高い職場の原因は、「有給が取れない」など働き方に関することが多いです。
有休がとれない問題を例に出しましたが、私は有給休暇を取得の決裁を現場職員に任せることにしました。
実際「○○さん有休取りまーす」みたいな感じで報告がきて、初めのうちは現場である私が決裁していました。
少ししたら上司から「自分たちでやりくりしていいよ」と言われ、有休をとりたいときは現場スタッフ間で話し合いながら出勤日を調整し、うまいことやっています。
さらに、勤務表の作成も素案だけ管理者が作ってくれて、「あとは自分たちの都合の良いように組み替えていいよ」と現場スタッフに渡されます。
かなりの部分を修正しちゃいますね。それをそのまま決裁しますけど。
現場で組み替えると希望給もとりやすくなって、お互い譲り合うことでチームとしての力も磨かれてきます。
そこから、支援方法とかイベントに関しても、スタッフの裁量でできることが多くなりましたね。
上司は現場を信じることでスタッフの離職を防ぐことができる
介護職員、現場スタッフの裁量が大きくなることは管理者にとっても仕事が減り、ある意味楽になります。
しかし、責任は変わらず上司や管理者にあるので心配は増えると思います。口出ししたいのを我慢するのも、上司のストレスになるはずです。
でも、慣れれば信頼関係が強くなりWin-Winです。不安は最初だけです。失敗もあるでしょうが、諦めない限り今よりいい方向に進むことは間違いありません。
「上司に言ったところで、働き方は何も変わらない」
よく聞く言葉ですが、諦めているだけではないでしょうか?この言葉を聞く職場ほど、離職率が高いのではないかと思います。
現場スタッフ、上司、お互いを信じて行動しましょう。一人一人の勇気一つで、職場の雰囲気はがらりと変わるはずです。